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話題4 | ■古典韵と現代韵 高橋子沖 2009/1/24(土)08:44 返事 / 削除

 中山顧問・講師が漢詩を通して日中文化交流に尽力されていること、並びに葛飾吟社の方針に私は賛成し敬意を表します。これに関しまして下記の点お願いと提案をいたします。

 中国大陸では歴史的に言語の変化があり、人民共和国政府が普通話の普及を行った事に鑑み、漢詩の作詩には殆どの人が中国現代韻で作詩しているとのことです。然るに日本漢詩連盟などは、依然として平水韻を使っています。
 私は日本でも中国語を学ぶ人も増加し、日中の関係を考えれば当然近代韻を使うのが望ましいと考えます。
 此れに関しましては、現代韻で書かれた、詩語集なり辞書、入門書の類のないことも一因と考えられます。
 よって現代韻での作詩のために葛飾吟社の例会の折に、使用するのが望ましい中日辞典、現代韻の基準、作詩の方法等の説明をして頂くたく思います。
 石倉様の漢詩には現代韻によるものも拝見しています。

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投稿4 | ■投稿3の続き 中山逍雀 2015/3/4(水)16:44返事 / 削除

 現代中国の詩韻について述べましたが、
 古典韻 現在は使われていない 106韻
 中国共産党政府が発表した現代韵 平韻18韻 仄韻18韻 併せて36韻
 民間通用の中華新韵 平韻16韻 仄韻16韻 併せて32韻

 私が嘗て交流していた五年前では、中華新韵の方が流通していました。
 この中華新韵は、音引き中国語辞書の項目にほぼ等しいといえます。
 私の場合、コンクールなどの作品は36韻の方を用い、交流応酬の場合は32韻を用いていたようです。
 少なくとも古典韻は、現実を知らない者として侮られますから、殆ど用いませんでした。

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投稿3 | ■ 押韻について 中山逍雀 2015/3/2(月)11:14返事 / 削除

 高橋子沖先生の題材について石倉鮟鱇兄の貴重な一筆が寄せられていましたが、システムの支障からか、表題が脱落していました。

 日本の漢詩壇では大昔の古典韵を後生大事に使っています。その大元は指導者のプライドに因るものです。
 さて現在の中国では、国家統一手段の一つとして、共産党が決めた押韵がありますが、現実には、発音引きの国語辞典で同じ韻なら同韵として十分に役立ちます。
 因って日本人でも、発音引きの中国語辞書を持っていれば、其れで十分に役立ちます。
 中国の領域は広大ですから、共産党が決めた韻書よりも、国語辞書の方が現実的で、但これにイチャモンを付けるのは、中国でも日本でもプライドを背負った学者達だけです。
 皆さんは学者では無いのですから、もっと自由に扱えば良いのです。
 今の会員を伺いますと、中国語か堪能な方が沢山居られますから、もっと自由に作れば良いのです。
 ただ詩法を弁えることは大切な用件です。
 其れよりもっと大切なことは、その内容です。
 素人の自叙伝を読んでも、鬱陶しいのと同じように、独りよがりの作品は鬱陶しい丈です。

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投稿2 | ■平水韵と新韵について 石倉鮟鱇 2009/1/30(金)14:49返事 / 削除

 石倉鮟鱇です。
 高橋先生ご指摘のように、小生は2004年に北京で「詩韵新編」を購入して以来、新韵で詩詞を作ることを原則にしています。新韵には、「詩韵新編」では18韵、「中華新韵」では14韵の差があります。「中華新韵」の韵書を私は持っていません。しかし、「詩韵新編」と「中華新韵」には大きな矛盾はなく、「詩韵新編」の韵部を一部読み替えれば、「中華新韵」の韵書として使うことができます。
 私は詩だけでなく詞曲も作ります。平水韵は詩では今もなお有効ですが、詞は詞韵、曲は中原音韵で作ることを考慮すれば、平水韵に凝り固まるよりは新韵で作る方が有利です。
詞韵も中原音韵も、平水韵に比べ新韵と大きく差があるものではありません。

 詩の韵律については、次の3つのケースが考えられます。
1 平水韵にも新韵にも合致している場合。
2 平水韵には合致しているが、新韵には合致していない場合。
3 平水韵には合致していないが、新韵には合致している場合。

 1は、平水韵と新韵の両者を知っていれば、比較的容易に作れます。平水韵で作れば、おおむね新韵でも通用するからです。
 2は、新韵を知らないために起こることです。平水韵「支」には、新韵では「支」「微」「齋」となるものが混在しています。平水韵「元」には、新韵では「文」「寒」となるものが混在しています。それを知らずに作れば、現代の中国語で朗誦した場合に、押韵がきれいに響くとはかぎりません。
 また、新韵を知らなければ、新韵では平声になっている入声を仄声として詩を作ることになります。入声を交えた句作りでは、平らかな平声=第一声ばかりが続く、きわめて朗誦しにくい句作りをしてしまうことになります。
 以上1、2からは、たとえ平水韵準拠で作る場合であっても、新韵を知らないときれいに朗誦してはもらえない、ということを覚悟しなければなりません。
 とすれば、何のために平仄を調えて作詩をしたのか、ということになる。

 3は、平水韵を知る人からは、平水韵を知らないのか、とお叱りを受けるかも知れません。
 しかし、平水韵ではありえない押韵の組み合わせを可能にするもので、これまでにない詩境を開くことができる、そういう長所がありますし、押韵の照合がより厳密な作詩も可能になります。たとえば、「声sheng」と「風feng」は、「声sheng」と「情qing」よりもずっと響きがよい。

 以上、現代における朗誦を考慮すれば、平水韵に固執すべき点はなく、平水韵に依拠して作詩をするにしても、現代韵を無視することはできない、と小生には思えます。
 であるなら、新韵による作詩の方が、平水韵による作詩よりもずっと有利です。

http://www.h2.dion.ne.jp/~ankou/

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投稿1 | ■古典韵現代韵の実状 中山逍雀 2009/1/24(土)09:35 返事 / 削除

 中国における漢詩詞創作の現状は、四五年前までは古典韵が主流でしたが、現在では現代韵が主流です。依って現在では、先方詩詞壇に投稿する場合は、“古典韵”の但し書きを付けるのが通例です。
 古典韵と現代韵にさしたる違いはありません。平仄の違いは多少有りますが、古典の韵書を用いるか、現代韵の韵書をを用いるか、だけの違いです。
 葛飾吟社に限って謂えば、現代韵を用いている人は、半数居るのではないかと想います。小生が筆を入れる場合も、原作の使用韵に合わせて韵を使い分けています。
 現代韵の韵書は幾つかありますが、日本の書店に陳列されていて購入可能なのは、《詩韵新編 上海古籍出版社版》です。昨年、例会の席上で、東京神田で陳列販売されている書店を紹介したことがあります。
 現代中国は多民族国家で疆域が広大で、此の言語を細部まで統一することは、現実には不可能です。然し国家統治の観点から見れば、言語の統一は、国家統治上有効な手段です。
 依って、詩詞押韵は実用語との乖離が差ほど影響しないので、普通話への転向が急速に進んだと思います。
 古典韵が普通話との間で乖離あることは現実ですが、現代韵も地域によっては実用語との間で乖離することも現実です。
 我々日本人は、外国人です。依って現代韵でも古典韵でも、何れにしても乖離は有るのです。依って現代韵を用いるか、古典韵を用いるかは、個人の裁量に任せることが宜しいと判断しています。
 なお、古典韵から現代韵への移行には、韵書を移行するだけで充分です。平仄の違いは差ほど大量では有りませんから、その都度の対応で支障有りません。依って語彙集の如きは、新たに用意する必要は有りません。
 なお、現代韵の韵目数は古典韵の概ね半分ですから、創作の上で韵の対応がより柔軟と成ります。

 現代韵の解説は小生の漢詩講座に掲載されています

http://www.741.jp/kouza07/kou-07A19.htm

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